一度使いだすと便利さゆえ手放せなくなることが多い機材に、midiコントローラー(midiインターフェース/フィジカルコントローラー)があります。
これは、特定のDAW専用のもの、複数のDAWに対応しているもの、形・大きさ・役割についても様々です。
今回は、そんなmidiコントローラーの中でも、PreSonusから販売されている「FaderPort 8」に着目しました。様々なDAWに対応している製品ですが、中でもProToolsでの使い方を記載します。
なお、Universal Control V3.4.263992 Win x64 (Built on Mar 19 2021)時点の内容に準じています。
また、FaderPort 16についても、ほぼ同様に扱えます。そのため、随所にFaderPort 16 のことも載せている場合があります。
接続モードの方法
まずは、実際にProToolsでFaderPortを使える状態にするための接続方法を記載します。デフォルトの設定だと、Studio One用の設定になっているため、以下の設定を行って接続モードを変更する必要があります。
FaderPortの設定
以下の手順を行うことで設定が完了します。なお、以下の設定を行うと、以降で通常起動した場合はProToolsと連携するモードで立ち上がります。そのため、使用するDAWを変更しない限り、再度この設定を行う必要はありません。
No | 手順 | 参考画像 |
1 | 左から一番目と二番目のフェーダーに紐づいている「Select」ボタンを押したまま、電源を入れる | |
2 | 「HUI」が記載されているフェーダーの「Select」ボタンを押下する | |
3 | 「EXIT」が記載されているフェーダーの「Select」ボタンを押下する | |
4 | 自動で再起動されるので、起動が完了するまで待つ。 | ー |
ProToolsの設定
以下の手順を行うこと
基本操作
以下では、Protoolsに対して、FaderPortのボタンはどのように機能するのか?について記載していきます。
チャンネルストリップ
各々のフェーダーに紐づいているボタンなどのUIです。
チャンネルボタン修飾キー
一番左側に位置するボタン群で、チャンネルストリップのボタンに対して、追加機能をもたらすようなものです。
オートメーションコントロール
右側上部にあるボタン群で、パラメーターなどを自動で変化させる「オートメーション」を効率的に行うことができます。
セッションナビゲーター
右側中央にあるボタン群で、プロジェクトにおけるビューやナビゲーションを行うことができます。「プッシュ式エンコーダー」、「Prev」ボタン、「Next」ボタンと組み合わすことで効率的な操作ができます。
※ファンクションキーは、右側の「Shift」キーを押しながら、各ボタンを押すことで機能します。
トランスポートコントロール
右側下部にあるボタン群で、再生・停止などを行います。
フェーダーボタン
各フェーダーのディスプレイ右隣にあるボタン群で、フェーダーで操作するモードを指定します。
以下では、各モードにおける操作方法について、説明します。
トラック
トラックモードが有効な時は、「Pan/Param」ノブで、トラック毎にパンの位置を制御することが可能です。
なお、前述のように、ステレオチャンネルの場合、エンコーダーはデフォルトで左パンを制御します。右のパンを操作するには、エンコーダーを押すことで対応できます。
また、ShiftボタンとTrackボタンを同時に押すことで各ディスプレイにタイムコードを表示しますが、これはProToolsで選択したタイムコードタイプに従います。このタイムコードが有効となっている間は、フェーダーは各トラックのボリュームレベルを制御します。
プラグインを編集
プラグイン編集では、左から1つ目~4つ目の「Select」ボタンを押下することで、各フェーダーにより、パラメータやスイッチ(機能のオン/オフ)を制御できます。各ディスプレイには、制御しているパラメータの値が表示されます。
※Pro Tools 8.0.5以降、AvidはHUIプロトコルの新開発をサポートしていません。HUIをレガシープロトコルとして残存しています。
※プラグインは多岐に渡り、開発者も様々です。そのため、意図した通りに動作しないプラグインが出てくる可能性があります。
■実施方法
1. 「Edit Plugins」ボタンを押下する。
2. Shiftキーを押し続け、編集したいトラックに紐づく選択ボタンをと一緒に押下する。
※同時に操作できるプラグイン数は、フェーダー数の半分です。そのため、FaderPort 8では最大4つ。FaderPort16では最大8つです。それ以上のプラグインを操作したい場合は、バンクを1つずつずらす必要があります。
3. 変更したいプラグインに紐づいている「Select」ボタンを押下する。
※「Pan/Param」ノブを回すことで、インサート1〜4の表示とインサート5の表示を切り替えることができます。
※「Pan/Param」ノブを押下することで、インサート選択する画面(本手順)に戻ることができます。
※「VCA」ボタンを押下すると、ProToolsで選択したプラグインが表示または非表示になります。
※インサートが割り当てられていない場合、Pro Tools上で、割り当てたいプラグインをプラグインリストから選択する必要があります。
4. フェーダーと以下のボタンを駆使し、各パラメータ値/有効・無効を変更する。
画像 | 名称 | 説明 |
バイパス | プラグインを無効にします。 | |
マクロ | プラグインの変更を比較します。 | |
リンク | 以下の手順で、プラグインを変更することができます。 1.「Link」ボタンが点滅するので、変更したいプラグインに紐づく「Select」ボタンを押下する。
|
センド
フェーダーと「Select」ボタンで、ProTools内のチャンネル送信を制御できるようになります。各フェーダーの上のディスプレイには、フェーダーと「Select」ボタンが制御しているセンドが表示されます。なお、このモードで各チャンネルの「Mute」ボタンを押下すると、センドがミュートされます。
■実施方法
1. 「Sends」ボタンを押下する
2. 操作したいセンドを「Select」ボタンで選択する
3. フェーダーを使用し、各チャンネルのセンドレベルを調整する。
4. 「Sends」ボタンを押下し、センドを選択する画面に戻る。
5. 一番右端の「Exit」ボタン下の「Select」を押下する。
パン
パンモードにすると、表示されているすべてのチャンネルに対して、同時にパン操作を行うことができます。使用するのはフェーダーです。
なお、ステレオの場合は、こちらも左側のみが効くようになっています。右側を操作したい場合は、「Pan/Param」ノブを押下してください。
セッション管理
フェーダーの右隣にあるボタン群で、ウィンドウの切り替えを行います。
画像 | 名称 | 説明 |
オーディオ/ インプット | ミキサーウィンドウを開きます。 | |
ビュー/ MIDI | アレンジャーウィンドウを開きます。 | |
バス/ アウトプット | トランスポートウィンドウを開きます。 | |
VCA/ FX | 選択しているプラグインをウィンドウで表示します。 | |
オール/ ユーザー | セッション設定を開きます。 |
まとめ
今回は、midiインターフェースの中でも多くのDAWを操作できる「FaderPort」をProToolsで使用した時について記載しました。
定期的なファームウェアアップデートにより、機能追加・不具合・性能も改善されてきています。実際に「ミックス管理」は購入当初は機能しませんでしたが、最新のファームバージョンでは、使えるようになっています。そのため、購入当初は残念な思いに駆られることもありましたが、現在は購入してよかったと思っています。
使い勝手の良い機材なので、ぜひ使ってみて下さい。
参考リンク
FaderPortについて知りたい方は、以下もご覧ください。
midiインターフェースについて、より詳しく知りたい方は、以下もご覧ください。