【Blender】レンダーエンジンの1つ「Cycles」の設定内容①

3DCGソフトの中でもフリーソフトで高機能なBlenderには、作成したオブジェクトを平面画像にする「レンダリング」があります。
「レンダリング」では、3つのレンダーエンジンを備えていて、それぞれに特徴があります。
今回は、3つのレンダーエンジンの1つ「Cycles」のレンダープロパティの前編として記載していきます。なお、本内容は、V2.93時点のリリース物件に沿った内容となっています。
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レンダープロパティ(Cycles)

ここでは、Cyclesのレンダープロパティの設定内容の前半の設定について説明していきます。

メイン

折り畳みセクションの中に入っていない基本的な設定を説明します。設定内容は以下です。

設定内容説明
機能セット

レンダリングに使用する機能セットを指定します。

【標準】
正式にサポート対象となっているもののみを使用する場合に設定します。

【実験的】
ベータ版のような開発途中の機能なども含めて使用する場合に設定します。

デバイス

レンダリングに使用するデバイスを指定します。

【CPU】
レンダリングをCPUを用いて行います。

【GPU演算】
レンダリングをGPU演算を用いて行います。
使用するGPUの設定を[プリファレンス] > [システム] > [Cyclesレンダーデバイス] で行う必要があります。

Open Shading Language

Open Shading Language(OSL)を使用するかどうかを設定します。

「 デバイス」で「CPU」を選択した時に表示されます。

サンプリング

直接光のサンプリングを備えたパストレーシングのインテグレータをサポートしています。さまざまな照明設定に対応していますが、コースティクスやその他の複雑な表現には適応していません。

なお、光の経路はカメラからシーンにトレースされ、光源(ライト、発光するオブジェクト、または 背景など)が見つかるまで跳ね返ります。光と発光する表面を見つけるために、「間接光のサンプリング(光の経路を表面のBSDFに追従させる方法)」と「直接光のサンプリング(光源を選択して、光源に向かって光の経路を追跡する方法)」の両方が使用されます。

設定内容説明
インテグレータ

照明の計算に使用されるレンダリングアルゴリズムです。以下の2種類があります。

【パストレーシング】
最初の跳ね返りで分岐しない純粋なパストレーサーです。
各サンプルの処理が速くなります。
ノイズをクリーンアップするためには、通常より多くのサンプルが必要になります。

【分岐パストレーシング】
最初の跳ね返りで分岐するパスインテグレータです。
サンプリングをより細かく制御します。そのため、各サンプルの処理は遅くなります。
「直接」もしくは「1回の跳ね返り」の照明で構成されるシーンでは、ノイズが減少します。

レンダー

各サンプルをレンダリングするためのアンチエイリアシングサンプル数です。

より多くのサンプル数であれば、ノイズが少なくなり、より正確になります。

分岐パストレーシングを使用する場合、これにより、サブサンプルで乗算されるアンチエイリアシングのサンプルが変更され、アンチエイリアシングが改善されます。

ビューポート

ビューポートにレンダリングするためのアンチエイリアシングサンプル数です。

「0」に設定することで、ビューポートのサンプリングが無期限になります。

サブサンプル
> ディフューズ

アンチエイリアシングサンプル毎に取得する拡散バウンス サンプルの数です。

インテグレータで「分岐パストレーシング」を選択した時のみ表示されます。

サブサンプル
> 光沢

アンチエイリアシングサンプル毎に取得する光沢バウンス サンプルの数です。

インテグレータで「分岐パストレーシング」を選択した時のみ表示されます。

サブサンプル
> 伝播

アンチエイリアシングサンプル毎に取得する伝播バウンス サンプルの数です。

インテグレータで「分岐パストレーシング」を選択した時のみ表示されます。

サブサンプル
> AO

アンチエイリアシングサンプル毎に取得するAOサンプルの数です。

インテグレータで「分岐パストレーシング」を選択した時のみ表示されます。

サブサンプル
> メッシュライト

アンチエイリアシングサンプル毎に取得するメッシュライトサンプルの数です。

インテグレータで「分岐パストレーシング」を選択した時のみ表示されます。

サブサンプル
> サブサーフェイス

アンチエイリアシングサンプル毎に取得するSSS のサンプルの数です。

インテグレータで「分岐パストレーシング」を選択した時のみ表示されます。

サブサンプル
> ボリューム

アンチエイリアシングサンプル毎に取得するボリュームスキャッタリングのサンプルの数です。

インテグレータで「分岐パストレーシング」を選択した時のみ表示されます。

適応サンプリング

ノイズが少ない箇所ほどサンプル数を減らすように、自動で動作します。

これにより、レンダリングを高速化し、ノイズ分布をより均一にします。

適応サンプリング
> ノイズしきい値

サンプリングを止めるノイズレベルの値です。通常は、0.1~0.001で設定すれば良いです。

値を小さくすると、レンダリング時間が長くなりますが、ノイズを削減します。

「0」に設定することで、アンチエイリアシングサンプル数を基に自動で設定されます。

適応サンプリング
> 最小サンプル値

サンプリングが止まるまでにノイズの多い特徴点を発見する適応サンプリングの最小アンチエイリアシングサンプル数です。

デフォルト値の「0」に設定することで、合計(最大)サンプル数の平方根に自動で設定されます。

デノイズ >
レンダー

チェックボックスにより、最終的なレンダリングのノイズ除去の有効/無効を設定できます。レンダリング後の画像のノイズ除去では、ノイズ除去データ、レンダリングパスも選択中のデノイザーに合わせます。

【NLM】
NLMは、Non-Local Meansの略です。
このノイズ除去方法の追加プロパティは、ビューレイヤープロパティで設定できます。

【OptiX】
AIのアルゴリズムを使用して、レンダリングからノイズを除去します。
OptiXアクセラレーションエンジンに基づいているため、Optixでのレンダリングと同じGPU要件があります。  

【Open Image Denoise】
CPU上で動作するAIデノイザーである Intel の Open Image Denoise を使用します。

デノイズ >
ビューポート

チェックボックスにより、3Dビューポートにおけるレンダーモードでのノイズ除去の有効/無効を設定できます。選択したデノイザーで各プレビューを更新した後、画像をノイズします。

【自動】
より高速なデノイザーを使用します。
利用可能な場合はOptiX、それ以外の場合はOpen Image Denoiseを使用します。

【OptiX】
AIのアルゴリズムを使用して、レンダリングからノイズを除去します。
OptiXアクセラレーションエンジンに基づいているため、Optixでのレンダリングと同じGPU要件があります。

【Open Image Denoise】
CPU上で動作するAIデノイザーである Intel の Open Image Denoise を使用します。

デノイズ >
開始サンプル値
3Dビューポートのプレビューでノイズ除去を開始するためのサンプル数です。
デノイズ >
入力パス

OptiX AIデノイザーが、シェーダーのノイズと形状の細部を区別するのに使用するパスです。

一般に、デノイザーがノイズ除去する必要のあるパスが多いほど、結果は良くなります。特にサンプル数が少ない場合は、「カラー」では細部がぼやける可能性があります。 そのため、少なくとも「カラー + アルベド」を使用した方が良いです。

【カラー】
カラーデータのノイズを除去します。

【カラー+アルベド】
カラーとアルベドのデータのノイズを除去します。

【カラー+アルベド+法線】
カラー、アルベド、法線のデータのノイズを除去します。

詳細設定 >
シード

異なるノイズパターンを得るインテグレータのシード値です。

【シードのアニメーション】
フレーム毎に異なるシード値を使用します。 変化するノイズパターンは目立たないため、アニメーションをレンダリングするときにこれを有効にすると良いです。

詳細設定 >
パターン

インテグレータが使用するランダムサンプリングパターンです。

【ソボル】
ソボルパターンを使用して、積分器が使用するランダムサンプリングパターンを決定します。

【相関性マルチジッター】
相関性マルチジッターパターンを使用して、積分器が使用するランダムサンプリングパターンを決定します。

【プログレッシブマルチジッター】
プログレッシブマルチジッターパターンを使用して、積分器が使用するランダムサンプリングパターンを決定します。
サンプル数の反復に対してサンプルの適切な分布を提供するメリットがあります。
さまざまなサンプル数の範囲で良好に分布しているため、このサンプルパターンは適応サンプリングに使用されます。

詳細設定 >
二乗サンプル
サンプル数を二乗にします。
詳細設定 >
最小ライトバウンス数

各パスの光の跳ね返りの最小数です。

値を大きくすると、初めの跳ね返りのノイズは少なくなりますが、複雑な形状では大きく効率が落ちる場合があります。

詳細設定 >
最小透過バウンス数

透過バウンスの跳ね返りの最小数です。

値を大きくすると、初めの跳ね返りのノイズは少なくなりますが、複雑な形状では大きく効率が落ちる場合があります。

詳細設定 >
光のしきい値

光がこのしきい値を下回ると、確率的にその光のサンプリングを終了します。

ノイズは増えますが、レンダリング時間は早くなります。

値を「0」にすると、光を一切無視しません。

全直接光源のサンプル

有効にすることで、ランダムに1つを選択するのではなく、シーン内のすべてのライトをサンプリングして直接バウンスします。

これを無効にするとパフォーマンスが向上しますが、レンダリングを鮮明にするには多くのサンプルが必要になります。

なお、インテグレータで「分岐パストレーシング」を選択した時のみ表示されます。

全間接光源のサンプル

ライトが多いシーンのノイズを減らすことができます。

なお、にインテグレータで「分岐パストレーシング」を選択した時のみ表示されます。

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ライトパス

ライトパスの種類は4つのカテゴリに分類できます。

  • カメラ:カメラから直接届きます。
  • 反射:表面での反射によって生成されます。
  • 透過:表面を透過することによって生成されます。
  • 影:(透明な)影に使用されます。

「反射光」と「透過光」は、加えて以下の特性を持つことができます。

  • 拡散:拡散反射または透過(半透明)によって生成されます。
  • 光沢:光沢のある鏡面反射または透過によって生成されます。
  • シグネチャ:完全に鋭い反射または透過によって生成されます。

ライトパスでは、これらの特性を決定づけるような以下の設定が存在します。

 

設定内容説明
最大バウンス数
> 合計

光の全ての跳ね返りの最大数です。

値が大きければ高品質になりますが、処理速度は劣る傾向があります。

値を「0」に設定すると、直接照明のみになります。

最大バウンス数
> ディフューズ
「最大バウンス数 > 合計」の最大数の限界とした、最大の拡散反射バウンス数です。
最大バウンス数
> 光沢
「最大バウンス数 > 合計」の最大数の限界とした、最大の光沢反射バウンス数です。
最大バウンス数
> 透過

最大の透過バウンス数です。

この値は、他のバウンスとは別に制御され、確率的に終了させることもできます。

これは、透明度の多くのレイヤーをレンダリングするのに役立つ場合があります。

最大バウンス数
> 伝播
「最大バウンス数 > 合計」の最大数の限界とした、最大の伝播バウンス数です。
最大バウンス数
> ボリューム
ボリューメトリック散乱イベントの最大数です。
制限 >
直接照明

値が「0」ではないときに、まだ跳ね返っていないライトパスからのサンプルがピクセルに寄与することができる最大輝度です。

「0」の場合は、完全に暗くなります。

「ノイズの量の減少」「収束の遅さを回避」をする代わりに、精度は落ちるようになります。

制限 >
間接照明

値が「0」ではないときに、複数回跳ね返ったライトパスからのサンプルがピクセルに寄与することができる最大輝度です。

「0」の場合は、完全に暗くなります。

「ノイズの量の減少」「収束の遅さを回避」をする代わりに、精度は落ちるようになります。

コースティクス >
光沢フィルター

「0」より大きい値の時、ブラーのバウンス後に光沢のある反射がぼやけます。

「ノイズの量の減少」をする代わりに、精度は落ちるようになります。

コースティクス >
コースティクス > 反射

有効にすることで、反射コースティクスを使用します。

適応すると明るくなります。 また、ノイズが増えてしまいますが、リアルな画像になります。

コースティクス >
コースティクス > 相対

有効にすることで、屈折コースティクスを使用します。

適応すると明るくなります。 また、ノイズが増えてしまいますが、リアルな画像になります。

高速GI近似

ディフューズ間接照明を背景色のアンビエントオクルージョンで近似します。

インタラクティブなビューポートレンダリングや、低品質の最終レンダー用のフルグローバルイルミネーションを短時間で提供します。

高速GI近似 >
ビューポートバウンス数

3Dビューポートでレンダリングするときに、指定したバウンス数の後は、グローバルイルミネーションをアンビエントオクルージョンに置き換えます。これにより、視覚的な印象の変化を極力与えずに、ノイズを減らすことができます。

「0」に設定した場合は、この機能が無効になります。

高速GI近似 >
レンダーバウンス数

最終レンダリングをレンダリングするときに、指定したバウンス数の後は、グローバルイルミネーションをアンビエントオクルージョンに置き換えます。これにより、視覚的な印象の変化を極力与えずに、ノイズを減らすことができます。

「0」に設定した場合は、この機能が無効になります。

高速GI近似 >
AOの係数
アンビエントオクルージョンをブレンドする係数です。
高速GI近似 >
AOの距離
効果が発生するライトパスと他の面との距離です。

ボリューム

ボリュームでは、以下の設定が存在します。 ボリュームステップサイズは、ボリュームシェーダーサンプル間の距離になります。ステップサイズを大きくすると、ボリュームの詳細が失われる可能性がありますが、反面レンダリング時間を短縮することが可能です。

設定内容説明
ステップ率:レンダー

レンダー内のすべてのボリュームのステップサイズのグローバル乗数です。

値が小さいほど細かくレンダリングし、大きいほどレンダリング時間が短縮されます。

ステップ率:ビューポート

ビューポート内のすべてのボリュームのステップサイズのグローバル乗数です。

値が小さいほど細かくレンダリングし、大きいほどレンダリング時間が短縮されます。

最大ステップ数

ボリューム内の通過を断念するまでの最大ステップ数です。

「大きなオブジェクト」もしくは「小さなステップサイズ」の時に起こり得る「レンダリング長期化」を回避します。

ヘアー

ヘアーのシステムのすべてのインスタンスに適用されるグローバル設定になります。以下の設定が存在します。

設定内容説明
シェイプ

以下の2種類から選択します。

【ラウンドリボン】
高速レンダリングのために、髪を「丸みを帯びた法線を持つフラットなリボン」としてレンダリングします。
ヘアーのカーブは、指定された「カーブの分割数」の固定数で分割されます。

【3Dカーブ】
髪を近くで見た時に正確になるように、髪を「3Dカーブ」としてレンダリングします。
ヘアーのカーブは、カーブが滑らかになるまで自動的に細分化されます。

カーブの分割数

ラウンドリボンで使用されるカーブの分割数(0を含む)です。分割数を指数とした、2のべき乗になります。

シェイプで「ラウンドリボン」を選択した時のみ表示されます。

簡略化

プレビューレンダリングを高速化するために簡略化させることができます。チェックボックスをOnにすることで、以下の設定が有効になります。

設定内容説明
ビューポート >
最大細分化数
細分割を簡略化した時の最大細分化数です。
ビューポート >
子パーティクル

全体を見た時の子パーティクルの百分率です。

指定したパーセンテージで、子パーティクルを省略します。

ビューポート >
テクスチャ上限

ビューポートレンダリングで使用するテクスチャサイズを制限します。

実動作は、選択した値より大きくならないように、テクスチャを自動的に縮小されます。

ビューポート >
ボリューム解像度

ボリュームオブジェクトの解像度の百分率です。

指定したパーセンテージで、ボリュームを簡略化します。

レンダー >
最大細分化数
レンダリング中での最大細分化数です。
レンダー >
子パーティクル

レンダリング中の全体を見た時の子パーティクルの百分率です。

指定したパーセンテージで、子パーティクルを省略します。

レンダー >
テクスチャ上限

最終的なレンダリングで使用するテクスチャサイズを制限します。

実動作は、選択した値より大きくならないように、テクスチャを自動的に縮小されます。

カリング >
カメラカリング

マージンで定義されたカメラの視点に基づいてオブジェクトを自動的にカリングします。

また、カメラ空間のカリングのマージンをスライドバーで設定できます。

カリング >
距離カリング

カメラからの距離に基づいてオブジェクトを自動的にカリングします。

カメラ距離は任意に設定でき、設定した値よりも離れているオブジェクトをカリングします。

グリースペンシル >
再生のみ
アニメーション再生中のみ、グリースペンシルを簡略化します。
グリースペンシル >
フィル
ビューポートにフィルストロークを表示します。
グリースペンシル >
モディファイアー
モディファイアーを表示します。
グリースペンシル >
シェーダーエフェクト
シェーダーエフェクトを表示します。
グリースペンシル >
レイヤーのチント
レイヤーチントを表示します。
グリースペンシル >
アンチエイリアシング
ストロークの縁のスムージングにアンチエイリアシングを使用します。

 

参考URL

Blenderで実際にレンダリングする方法は、以下を参照ください。

【Blender】作成した3Dオブジェクトを平面に落とす「レンダリング」の使い方

「レンダーエンジン:Eevee」の設定を見たい場合は、以下を参照ください。

【Blender】レンダーエンジンの1つ「Eevee」の設定内容

「レンダーエンジン:Cycles」の設定(「モーションブラー」以降)を見たい場合は、以下を参照ください。

【Blender】レンダーエンジンの1つ「Cycles」の設定内容②

「レンダーエンジン:Workbench」の設定を見たい場合は、以下を参照ください。

【Blender】レンダーエンジンの1つ「Workbench」の設定内容

「出力プロパティ」の設定を見たい場合は、以下を参照ください。

【Blender】レンダリングに必要な「出力プロパティ」の設定内容
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